火曜の朝、開店前の売場で品出しをしながら、僕は無意識に「この棚、先週より動いてないな」と数字を頭の中で並べていました。20年やってきた仕事なのに、こういう見方をするようになったのは、たぶんここ最近です。きっかけは、この春から夜に始めたAI副業でした。
タカです。3月末にClaude Code(クロード・コード。AIに指示を出して文章やちょっとした道具を作れるツールです)を触り始めて、いまでちょうど3ヶ月くらいになります。収益はまだ0円のままで、それは正直しんどいんですが、思いがけない副産物がありました。本業の小売店の仕事が、前と違って見えるようになったんです。今日はその話を書きます。
断っておくと、これは「副業で稼げた話」ではありません
この記事は「AI副業で月◯万稼げました」みたいな景気のいい話ではありません。お金はまだ1円も入っていない。それでも書きたかったのは、稼ぐ前の段階でも、副業で身についた考え方が本業にじわっと効いてきた実感があるからです。
僕は42歳、在籍20年目の売場主任。コーディングなんて一文字も書けない、ど真ん中の文系です。そんな僕が夜の3時間、書斎でAIに相談しながら記事を書いているわけですが、その3ヶ月で「考え方の癖」が変わって、それが昼の仕事にそのまま持ち込まれている。気づいたときは、自分でもちょっと意外でした。
売場でお客さんの動きを「なんとなく」で見なくなった
副業でブログを書いていると、嫌でも数字と向き合うことになります。何人が記事を読んだか、どこで離脱したか、検索でどの言葉から入ってきたか。Search Console(グーグルの検索成績表のようなものです)の画面を見るたびに、「思っていたのと違う」と何度も思わされました。
たとえば、自分では渾身の出来だと思った記事がほぼ読まれず、軽い気持ちで書いた記事に少し人が来る。「自分の感覚」と「実際の数字」は、こんなにズレるのかと。これを3ヶ月くり返したら、本業でも「自分の感覚を疑う癖」がついてしまいました。
以前の僕は、売場で「この商品はよく動く」「あの棚は弱い」と、長年の勘でだいたい判断していました。20年いれば、その勘はそこそこ当たります。でも最近は、勘で思ったあとに「本当にそうかな」と一拍おいて、レジを通った実際の数を確認するようになりました。すると、自分が「動いている」と思い込んでいた棚が、実は3週間ほぼ横ばいだった、なんてことがある。逆に、地味だと思っていた棚が静かに伸びていたりする。
これ、副業を始める前は絶対にやっていませんでした。数字を見る環境は前からあったんです。ただ、見ようと思っていなかった。ブログで「感覚と数字はズレる」と嫌というほど体感したから、本業でも数字を確認する手が動くようになった。順序が逆輸入された感じです。
大きな仕事を「分解する」癖がついた
Claude Code を使うとき、AIに丸投げするとだいたい失敗します。これは何度もやらかして学びました。「いい感じのブログ記事を書いて」と雑に頼むと、当たり障りのない、誰が書いたか分からない文章が返ってくる。
うまくいくのは、こちらが仕事を細かく分けて渡したときです。「まず構成案だけ出して」「次にこの見出しの中身を、僕の失敗談を入れる前提で」というふうに、作業を小さく刻んで一つずつ進める。AIに頼るほど、逆に「自分が段取りを分解する力」が要る。これは始める前に思っていたのと真逆でした。
この「分解する癖」が、本業の段取りでも出るようになりました。たとえば季節の売場の入れ替え。前は「来週までに棚を組み替える」と頭の中でひとまとめにして、当日バタバタしていました。いまは無意識に、発注はいつ・什器の移動は誰と・値札の差し替えは何時から、と頭の中で工程に割っている。AIに指示を出すときの「小さく刻む」感覚が、そのまま現場の段取りに移ってきたんだと思います。
正直に言うと、これは20年目にしてようやく、という遅さです。本来もっと早く身につけているべきだったのかもしれません。でも、きっかけが副業のAIだったというのが、自分でもおかしくて、少し笑ってしまいます。
失敗を「記録する」ようになった
副業を始めて、僕はやたらとメモを取るようになりました。ブログ運営は、つまずきの連続です。インストールでつまずいて3時間溶かした日、AIへの聞き方が悪くて30分が無駄になった夜。そういうのを、そのつどメモに残すようにしました。理由は単純で、同じ失敗を二度やると本当に時間がもったいないからです。夜の3時間しか使えない身からすると、30分の無駄は致命的なんです。
この「失敗を記録する」習慣も、本業に移ってきました。前は、現場で小さなミスや「うまくいかなかったこと」があっても、その場で対処して終わり。記録に残すなんて発想がそもそもなかったんです。いまは、スマホのメモに「この発注のタイミング、早すぎて在庫がだぶついた」とか「あの陳列、お客さんの導線とぶつかった」とか、短く残しています。
大したメモではありません。一行か二行です。でも、次に同じ場面が来たときに「あ、前これで失敗したな」と思い出せる。20年も同じ仕事をしていると、失敗すら毎年なんとなく繰り返してしまうものなんだと、記録を始めてから気づきました。
AIは「効率化の道具」だと思っていたけど
始める前の僕は、AI副業のことを「作業を速くする道具」くらいに思っていました。記事を速く書く、道具を速く作る。実際そういう面はあります。
でも3ヶ月やってみて、いちばん変わったのは作業スピードじゃありませんでした。「ものごとの見方」のほうでした。数字で確かめる、大きい仕事を小さく割る、失敗を残す。これって全部、AIそのものの機能じゃないんですよね。AIを使いこなそうともがいた結果、副産物として身についた思考の癖です。
AIに相談すると「こうすれば効率化できますよ」とスマートな答えが返ってくることがあります。でも、その答えをそのまま受け取るんじゃなくて、「本当に自分の現場でそうかな」と一回立ち止まる。この立ち止まりこそが、たぶんいちばんの収穫でした。AIは答えをくれる便利な相手ですが、最終的にどう動くかを決めるのは、やっぱり自分なんだと。
| 副業で身についた癖 | 本業での変化 |
|---|---|
| 感覚を数字で確かめる | 勘で判断したあと実数を確認するようになった |
| 大きい仕事を小さく分解する | 売場の段取りを工程に割って動けるようになった |
| 失敗をメモに残す | 現場のミスを一行記録して繰り返しを防ぐ |
こうやって表に並べると、いかにも計画的に身につけたみたいに見えますよね。実際はぜんぜんそんなことなくて、全部あとから「あれ、そういえば最近こうしてるな」と気づいただけです。狙ってやったわけじゃない。そこは正直に書いておきます。
稼げていない僕が、それでも続けている理由のひとつ
収益はまだ0円です。それは何度書いても変わらない事実で、しんどい。妻にもまだ胸を張れる成果は出せていません。
ただ、本業の見え方が変わったことは、お金には換算できない収穫でした。月の予算は約2万円。Claude Codeの上位プランは月18,000円ほどです(料金は変わるので、契約前に公式サイトで最新をご確認ください。※2026年6月時点)。安い金額ではありません。それでも、その出費が昼の仕事にまで効いてくるなら、まあ無駄ではなかったかな、と。いまはそう思えています。
もしこれを読んでいるあなたが、僕と同じように本業を持っていて「副業なんて始めても回らないだろう」と二の足を踏んでいるなら、ひとつだけ。副業で稼げるかどうかは、正直やってみないと分かりません。でも、稼ぐ前の段階でも、考え方が本業に効いてくることはある。少なくとも僕の3ヶ月は、そうでした。
まずはスマホのメモに、今日の仕事で「うまくいかなかったこと」を一行だけ残してみる。それくらいなら、AIも副業も関係なく、今日からできます。
次回予告
今回は少し内省的な話になりました。来週からはまた新しいテーマで、僕の試行錯誤を正直に書いていくつもりです。相変わらず収益0円スタートですが、だからこそ書けることもあるはずなので、よかったらまた読みに来てください。

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