2026年6月9日、Claudeに新しいモデル「Fable 5(フェーブル・ファイブ)」が登場しました。Anthropicが「これまでで最も高性能」と打ち出した新モデルです。僕も翌10日の晩から使い始めて、そこからの3日間は、正直に言うと血眼でした。寝る時間を削って、思いつくかぎりの仕事を毎晩投げ続けたんです。
ところが、それから数日後の6月12日。Fable 5は、公開からわずか3日で、世界中で使えなくなりました。
理由は、僕たち利用者の都合とは全然ちがうところにありました。アメリカ政府の輸出管理(特定の技術の輸出を制限する制度)の指令で、Fable 5と、もう一つの新モデル「Mythos 5」が対象になったんです。報道や各社の解説によると、外国籍の人のアクセスを防ぐための安全保障上の措置で、Anthropicは「外国の人だけを選り分ける」ことが難しいため、いったん全ユーザーに対して両モデルを止めた、という流れのようです。
念のため書いておくと、僕はAI副業の目線で使っていただけなので、規制そのものの良し悪しは分かりません。事実として「公開3日で、政府の指令により世界中で止まった」という、これまで聞いたことのない出来事が起きた、とだけ受け止めています。Claude Opus など他のモデルは、今もこれまでどおり使えます。再開の時期は、この記事を書いている時点では決まっていません(Anthropicは「できるだけ早く戻したい」としています。最新は公式サイトでご確認ください)。
消えると分かっていたら、もっと計画的に試したと思います。でも実際は「すごい新型が来た」と夢中になっていただけでした。せっかく血眼で3日間使い倒したので、消える前に何を頼んで、何を感じたのかを、記録として正直に残しておきます。
(「モデル」というのは、AIの頭脳部分のことです。アプリの見た目は同じまま、中の頭脳だけが入れ替わる。車で言えば、ボディはそのままでエンジンが新型になるイメージです。)
何が変わったか:カレーで例えます
この3日で感じた一番の変化を、カレーで例えさせてください。
今までのAIに仕事を頼むのは、こういう感じでした。「じゃがいもを切って」「次ににんじんを切って」「肉はこの大きさで」「鍋に油を引いて」……。工程をひとつずつ、こちらが指示する。どこかの指示が雑だと、じゃがいもが丸ごと鍋に入っているような変なものが出来上がる。僕も「読みやすく直して」とだけ頼んで記事を台無しにされたことがありますが、あれも要するに、工程の指示が下手だった話です。
Fable 5は違いました。「カレーが作りたい」と言えば、伝わるんです。
材料の段取りから、こちらの好みの汲み取りまで含めて、やってくれる。「それじゃなくて甘口で」と言えば、ちゃんと軌道修正してくる。工程を細かく言わなくても、こちらが本当に作りたかったものに近いところへ寄せてくる。短い3日でしたが、何度も「え、そこまで汲み取るのか」と夜中に一人でうなずいていました。
3日間で、実際に頼んだことを全部書きます
ただでさえ、僕が副業に使えるのは毎晩3時間ほどです。その3時間を、3日間まるごとFable 5に注ぎ込みました。料理が目的の例えで書いてきましたが、実際に頼んだのはカレーではなく、ぜんぶブログと副業まわりの実務です。順に書きます。
1日目の夜は、過去記事の総点検をお願いしました。「このブログの記事を50本ぜんぶ見て、弱いところ、矛盾しているところ、つながりの弱いところを、遠慮なく挙げて」。工程は何も指示していません。それで返ってきたのが、記事同士のつながりの弱さ、別の記事での同じ話の繰り返し、次に読む記事への案内のなさ——耳の痛い指摘が10個以上。2ヶ月で50本を超えて、自分では全体が見渡せなくなっていたブログを、ここまで筋道立てて棚卸しされたのは初めてでした。
2日目は、その指摘をもとに、実際のリライトを頼みました。「この指摘の中で、直すと一番効きそうな3本を選んで、直して。ただし僕の言い回しと、失敗談のトーンは絶対に残して」。これも、丸ごと任せた頼み方です。出てきた直し方は、僕が自分でやるより筋が通っていて、それでいて「タカっぽさ」が消えていなかった。ここが一番ゾッとしたところです。
同じ晩、新しい記事のネタ出しも頼みました。「このブログの読者(40代・これからAI副業を始めたい人)が、まだ僕が書いていなくて、検索しそうなテーマを、思いつくだけ」。一晩で何十個も返ってきて、しかも「これはもう書いている」「これは需要が薄い」まで添えてくる。ネタ帳がいっぱいになりました。
3日目は、一番こわい質問をぶつけました。「このブログ、2ヶ月で収益はほぼゼロ。読者も増えていない。その原因を、慰めなしで、データと記事の中身から指摘して」。返ってきた答えは、正直けっこう刺さりました。この“耳の痛い数字の現実”は、今週の週報でちゃんと書きます。ここで全部書くと、週報がからっぽになるので。
ほかにも、家計簿のCSVを渡して副業の経費と本業の支出を分けて整理してもらったり、Claude Codeで作りかけて止まっていた小さなツールの相談に乗ってもらったり。3日間、本当に手当たり次第でした。
もうひとつの変化:「できていないのにできました」が減った
これだけ次々に頼めたのには、理由があります。報告が信じられたからです。
正直に書くと、これまでのAIには、ひとつ困った癖がありました。「やりました」と報告してきたのに、確認すると、できていない。あるいは、できたのかできていないのか曖昧。悪気はないんでしょうが、これがあるせいで、報告は全部疑って自分で確かめる必要がありました。毎晩3時間しかない身には、この「裏取りの時間」が地味に重かったんです。
Fable 5にしてからの3日は、これがほぼ気にならなくなりました。できたことは「できた」、できていないことは「できていない」と返ってくる。確認しても報告どおり。短い期間でしたが、「できたと言ったのにできていなかった」場面に、僕は出会いませんでした。報告を疑わなくていいだけで、3時間で頼める量が、体感で倍くらいになりました。
……と書いたうえで、僕は最後の確認をやめるつもりはありません。信じられる相棒になったことと、確認を手放すことは別の話です。ブログに載るのは僕の名前なので。
3日で消えて、学んだこと
正直、まだこの新型の力を全然引き出せていないうちに、お別れになってしまいました。手当たり次第に試したぶん、「次はこう頼めばもっと働いてくれそうだ」というコツが見えかけたところでの停止です。もっと試したかった。いいエンジンだったので、また戻ってくるのを待っています。
ただ、今回のことで一つ、はっきり学んだことがあります。AIの世界では、すごく良い道具でも、自分の都合とは関係ないところで、ある日突然使えなくなることがある、ということです。あの3日間で「これがあれば作業が倍速になる」と思った矢先にこれですから、もし特定のモデルに頼りきっていたら、止まった瞬間に仕事も止まっていました。
だから僕は、特定のモデルに依存しすぎないことと、「今使えるモデルで、自分のやりたいことをちゃんと言葉にする力」のほうを大事にしようと思いました。実際、3日間で一番手応えのあった「ブログの穴探し」の頼み方は、いま使えるモデル(Opusなど)でもそのまま役に立っています。道具が消えても、頼み方は残るんです。
「カレーが作りたい」のひと言が通じる相手でも、どんなカレーを誰のために作るのかを決めるのは僕です。モデルが新しくなっても、消えても、ここだけは変わりませんでした。
まとめ
- Fable 5は2026年6月9日に公開され、わずか3日後の6月12日、アメリカ政府の輸出管理の指令により世界中で停止(Mythos 5も同様)。Claude Opusなど他のモデルは通常どおり使えます。再開時期は未定です
- 3日間(毎晩3時間×3日)で頼んだのは、過去50本の総点検・実際のリライト・新ネタ出し・収益が出ない原因の分析・家計データの整理など。工程を指示しなくても「やりたいこと」が通じました
- 報告を疑わなくてよくなり、頼める量が体感で倍に。ただし最後の確認はやめません
- 良い道具でも突然消えることがあると学びました。特定のモデルに依存せず、今使えるモデルで「決める力・言葉にする力」を磨くのが、結局いちばん強い。道具は消えても、頼み方は残ります
次回は、ChatGPT側にもある「作業を任せる」機能Codexと、Claude Codeを使いくらべた話を書きます。
※本記事に広告は含まれていません。Fable 5は2026年6月12日に提供が停止されました(アメリカ政府の輸出管理の指令によるもので、Mythos 5も対象。Claude Opus等の他モデルは通常どおり・再開時期は未定)。本記事は使えた3日間の記録です。最新の提供状況や使えるモデルは各公式サイトでご確認ください。


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